2019年12月に中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、日本においても年が明けた2020年1月15日に国内で初めて陽性者が報告されるなど、瞬く間に世界的な感染拡大を引き起こし、世界保健機関(WHO)も1月31日に緊急事態宣言を発するに至りました。
日本も例外ではなく、急激に感染者数が増加し、4月7日には新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県を対象に発令され、同16日にはその対象が全都道府県に拡大しています。
日本医師会は国内感染者の急増に対し、政府の緊急事態宣言に先立ち、4月1日に医療提供体制を維持するために「医療危機的状況宣言」を発表しました。すなわち、国民には自身の健康管理、感染を拡大しないための行動、適切な受診行動等を求めるとともに、政府に対しては、感染が疑われる者に対するPCR検査、既感染者に対する抗体検査が適切に実施できる体制の早急な整備等を要請しました。
COVID-19が、1918~1919年に世界的に流行したスペインインフルエンザのように、第一波に続き第二波があるのか、そのウイルスの実態は全世界で研究が進められているが、未だ必ずしも明らかとなっておりません。
いま、感染症指定医療機関はもちろんのこと、全国各地域の医療現場においては、COVID-19という「見えざる敵」に対して、医師をはじめとした医療関係者が地域住民の生命を救うべく懸命に闘っています。
これらの献身的な医療活動を強力に支えるためにも、ファクト、エビデンスに基づく情報の提供、具体的対策の提示が不可欠と認識しております。
このような状況のなか、4月18日、永井良三自治医科大学学長を座長に、笠貫宏早稲田大学特命教授を副座長として、さまざまな領域の専門家で構成される「COVID-19有識者会議」が日本医師会に設置されるにいたりました。
同会議においては、分野・領域ごとにすでにさまざまな検討が行われており、今後、同会議から、医療現場が抱えるCOVID-19の予防、診断、治療、臨床研究等の諸課題に対して、臨床医学、あるいは他の学問分野も含め、科学的、学術的な視点に基づく有用な情報提供、助言、提言をいただけるものと強く期待しております。
国民の生命の確保、そのための医療従事者の安全の確保、医療提供体制の維持のために、同会議が日本医師会、都道府県医師会、郡市区医師会等、医療現場と一体化した活動を展開することで、COVID-19の感染拡大を防止し、少しでも早い終息につながっていくことを切に願っています。