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WHO アップデート 第18報

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COI(利益相反)

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注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。

(2020年9月24日寄稿)

1 WHO本部暫定ガイダンス 迅速免疫測定法を用いたSARS-CoV-2抗原診断

(Antigen-detection in the diagnosis of SARS-CoV-2 infection using rapid immunoassays:Interim guidance)
 2020年9月14日

現在のCOVID-19診断は、核酸増幅法(nucleic acid amplification tests:NAAT)の原理を用いたPCR(reverse transcription polymerase chain reaction:rRT-PCR)によって行われているが、資材・人員・価格・迅速性のそれぞれに課題があり、必要十分な検査を行うことに難渋している国が多い。そのため、より簡便・安価・迅速なウイルス検査法として、SARS-CoV-2が生産するたんぱく質を検出する抗原迅速診断法(antigen-detecting RDTs:Ag-RDT)の研究開発と商品化が進められている。 即ちラテラルフロー免疫アッセーにより、迅速かつ安価に結果が分かる利点がある反面、今までの知見によれば、PCR法に比べて特異度(Specificity:真正陰性率)は高いものの、感度(Sensitivity:真正陽性率)は劣るとしている。しかしながら、感度はウイルス量により向上するとの文献もあり、ウイルス排出量の多い発症前1~3日から発症後5~7日では、十分な感度が期待できるとしている。これを踏まえて、暫定ガイダンスは、COVID-19アウトブレーク管理に迅速抗原検査を用いる際に留意すべきことをまとめたものである。なお、既に100を超える製品が市場にあると言われているが、FDAの迅速承認を得たものは4、我が国のPMDAが承認したのは2。WHOに製品情報を提供して緊急調達リスト掲載を希望したのは3プロダクトに留まっている。 

項目建てとしては:

  • 背景
  • 推奨事項
    • 一般的事項
    • 調達と検査実施を勘案したテスト選択
    • 実施にあたり考慮すべき点
  • 方法
  • 検査の精度
  • 症例管理とサーベーランスに利用する際の迅速検査の役割:
    • ここでは、Ag-RDTを用いる場合の検査対象者の対応フローチャートが示されている。その際、検査の感度と特異度を考慮して地域の感染状況も意思決定の条件に加えている。また、Ag-RDTを用いるべきではない6つの事例が表として掲げられている。それらは、①無症状で濃厚接触もない者、②感染者がゼロまたは散発的地域でのルーチン・サーベイランス、③検査実施者の感染防御が不十分な場合、④検査をしても発見された患者への対応が変わらない場合、⑤国境での入国管理(感染の状況は国によって異なるため検査結果の評価が困難であるため)、⑥献血前のスクリーニング
  • 検査の精度に影響を与える因子
  • 将来の特定製品リストを作成する可能性:
    • WHOは専門家の協力を得て引き続き検討するが、特定の製品を評価・推奨するに足る情報は持ち合わせていないとしている。

暫定ガイダンスそのものは、以下で全文を見ることが出来る。

2 WHO本部暫定ガイダンス SARS-CoV-2検査

(Diagnostic testing for SARS-CoV-2:Interim guidance)
 2020年9月4日

このガイダンスは、WHOが過去に発した、以下の種々の文献を一括してupdateしたもので、検査法や検体の処理から、検査後の患者管理までのポイントが述べられ、198におよぶ文献リストもついているため、検査関係者には有益な技術レファレンスとなっている。

  1. laboratory testing strategy(https://apps.who.int/iris/handle/10665/331509
  2. laboratory assessment tool(https://apps.who.int/iris/handle/10665/331715
  3. laboratory biosafety(https://apps.who.int/iris/handle/10665/332076
  4. advice on the use of point-of-care immunodiagnostic tests(https://apps.who.int/iris/handle/10665/331713
  5. antigen detection in diagnosis of SARS-CoV-2 infection using rapid immunoassays(https://www.who.int/publications/i/item/antigen-detection-in-the-diagnosis-of-sars-cov-2infection-using-rapid-immunoassays
  6. guidance for the investigations of clusters(https://apps.who.int/iris/handle/10665/331668
  7. public health surveillance(https://apps.who.int/iris/handle/10665/333752
  8. operational considerations for surveillance using GISRS(https://apps.who.int/iris/handle/10665/331589
  9. early investigation protocols(https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/technical-guidance/early-investigations

全文は以下からダウンロードできる。

3 WHO プレス・リリース 第75回国連総会に向けてのWHOからの3つのメッセージ

(WHO’s three messages for UNGA75)
 2020年9月15日

毎年、9月末には、国連総会がニューヨークで開催され、各国首脳が集まるが、今年はCOVID-19終息の見通しが立たないため、バーチャルでの会合となる。それに向けて、WHOからの3点のアピールが出された。第一が、COVID-19と戦う手段(ワクチン・医薬品・診断薬)の公平な配分で、日本も参加しているAccess to COVID-19 Tools (ACT)-Acceleratorへの支援を呼びかける。350億ドルの資金が得られれば、20億人にワクチン接種、2億4500万人の治療、5億人の診断が可能となる。第二が、SGDsへのあゆみを進めよう、第三が次の感染症に備えようとして、Independent Global Preparedness Monitoring Board (GPMB)が刊行した最新のレポートを引用している。なお、このBoardには日本からは鈴木康裕前厚生労働省医務技監が参加している。

関係の資料は以下からダウンロードできる。

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